【メルマガ】ガレキの中から、新しい学校をつくる
こんにちは、NPOカタリバ山内です。
少しずつ、春が近づいてきました。
コラボ・スクールでは、中3生の受験勉強も大詰めに。
宮城県の公立高校入試、前期試験の結果が2月12日に発表され、
女川向学館からは、16人が合格しました。
応援いただいた皆様、ありがとうございました!
後期試験に挑む生徒たち、そして大槌の生徒たちは、これからが本番です。
引き続き温かくお見守りいただければ幸いです。
さて今回は、その女川向学館で起こった出来事をお伝えします。
■
咋夏のこと、女川向学館の自習室で、
生徒たちの「おしゃべり」が止まらずに、
ざわざわとしてしまったことがありました。
一部の生徒たちが、話をするだけでなく、
宿題や問題プリントに取り組まずにぼーっとしたり、
ゲームや携帯をいじったり、落ち着かない様子でした。
スタッフが注意をすると、生徒たちは「わかりました」とうなずきます。
反抗的なとるわけでは、決してありません。
でも、しばらくするとまた、手が止まって、
おしゃべりしたりぼんやりしたり。
子どもたちと年齢の近いスタッフを中心に、生徒一人ひとりに
話を聞いてみると、意外なことが分かってきました。
■
生徒たちがこぼしたのは、「友達と一緒にいたいから・・」
「家には帰りたくない」などの言葉。
十分な広さとは言い難い仮設住宅。
学校の体育館は壊れたままで、
グラウンドをみんなで順番に譲り合って使っています。
仲の良い友だちと遊びたくても
外は、ガレキ処理のダンプカーがせわしなく走り、
歩道や街灯もまだない道を、子どもだけで出歩くことはできません。
家庭で車の送迎ができないために、
放課後の町のスポーツクラブに参加できる生徒が減ってしまったり・・・
仕方なく、家でゲームをする時間も増えがちになっています。
「ストレス発散の場なんだよ!ここは。」
そんなびっくりする言葉も、飛び出したそうです。
■
コラボ・スクールで、学習指導と並べ掲げている役割が、「心のケア」です。
大きな災害の後には、精神的に傷ついたり、メンタル・ケアが必要になる
子どもたちが生まれてくることは、これまでの経験から知られています。
女川町でも、冒頭の事例のように落ち着きがなくなる子がいたり、
もちろん震災前からですが、生徒同士のいじめもあります。
夏場は生徒の体調不良が続出したり、一部の生徒の服装が
目立って華美になったこともありました。
阪神・淡路大震災の影響によって、心の健康について
教育的配慮を必要とする児童生徒数の割合がはっきりと
減少に転じるまでは、5年の歳月が必要であったそうです。
皮肉なことに、復興が進めば進むほど、環境変化に伴う精神的な“揺れ”や、
ポジティブに目標に向かう生徒と、行動できない生徒の“格差”も生まれます。
子どもたちの心のケアは、「長期戦」なのです。
■
向学館にも、このように震災で傷ついたり、
家庭の事情や友達関係のトラブルを抱えたりした
子どもたちが通ってきます。
そんな彼らの様子に気になるところがあると、向学館のスタッフは、
できるだけ声をかけるようにしています。
「今日はちょっと、いつもと違う感じじゃない?」
そんな何気ない会話から、生徒の愚痴を聞くこともあるし、
「どの高校行くのか、きちんと考えたのか?」と授業が終わった後に、
4〜5人での即席の“進路相談”が始まることもあります。
特にボランティアの「学習サポーター」は、
先生でも親でもない(タテ)、友達でもない(ヨコ)、
「ナナメの関係」にあたります。
歳の近いお兄さん・お姉さんが、子どもたちの学習を
サポートするとともに、友達関係の悩みなどの相談に乗る。
このような対話が、生徒にとって将来を思い描くキッカケとなるケースもあります。
■
このような子どもたちの課題に対して、女川町では今、
地域みんなで対処しようという動きが進んでいます。
「災害をバネにして、向かい合える子を育てたい」
「あらゆる人に居場所と出番がある町づくり」
「復旧ではなく、創造的復興教育」
震災後に組織された「女川学びの町づくり実行委員会」の
昨年の会議では、学校や教育委員会など行政、地域住民や
向学館などの代表者が集まり、このような言葉が交わされました。
学校や地域と連携して、「ゾーンディフェンス」で、
子どもたちを見守っていく。
そんな機能を向学館では今、強めようとしています。
■
冒頭にて記した、おしゃべりがおさまらなくなった自習室ですが、
昨年11月、レイアウトをリニューアルしました。
「自習室について、こうしたいという想いがあるなら、
きちんと提案すべき。誰も聞いていなところで
コソコソ愚痴っていたって、何も変わらないだろ」
中3生たちが自習室について不満を話していたのに、
スタッフがこのように伝えたところ、彼らが自分たちで
自習室の使い方のルールを話し合い、レイアウト図をつくったのです。
「プレゼンテーションの機会をください!」
校長の今村久美にそうお願いして、
1ヶ月以上かけた準備の末に、ルールとレイアウトを提案。
「君たちを信用しよう」
スタッフの総意のもと自習室がリニューアルされたのでした。
= = = = = = =
学校や教育委員会、企業や行政、地域住民の方々、
ボランティアに、遠くから見守る寄付者のみなさま。
これに生徒たち自身を加えて、コラボ・スクールでは、さまざまな方々と
コラボレーションして、子どもたちを育てていきます。
※本メルマガの内容を、写真付きでFacebookにアップしています
よろしければ、シェアをして周りの皆様にもご共有ください!
▼ 東北の子どもたちを、一緒に応援しませんか? ▼
—コラボ・スクールへのかかわり方ー
> > > 最近のカタリバのニュース
・カタリ場の「冬企画」報告会が開かれました
・3月5日(火)、教育グッドプラクティスセミナーを開催します
・大槌臨学舎、プレハブ校舎寄付についてのご報告
・「高校生MY PROJECT」のミーティングが開かれました
・【採用情報】パートタイムのスタッフを、東京で1名募集しています!
→ 最新情報はTwitter/Facebookで!ご登録お願いします
▼ Twitter
https://twitter.com/katariba
▼ Facebook
http://www.facebook.com/katariba
<編集後記>
買い物でNPOを応援できるというプロジェクトに、
参加させていただきました!
ご協力いただいた企業様の野菜の宅配お試しセットを
購入することで、間接的な寄付を通して、
カタリバの活動をご支援いただけることに。
通常のボランティアや寄付でのご参加・ご支援は、なかなか難しい方も、
ぜひページを覗いてみていただければ幸いです!
【いつもの買い物を、誰かの笑顔につなげよう! 】
—お買い物でNPO応援プロジェクト(締切:2月20日)—