【メルマガ】甲子園を目指して / ある控え部員の挑戦

こんにちは、NPOカタリバ山内です。

少しずつ暖かくなってきましたね。
それにつれて私は、花粉で目がショボショボしてきております。。

さて前号では、コラボ・スクール卒業生「やくそく旅行」
( http://www.collabo-school.net/?page_id=2163 )
についてお知らせしましたが、

その前に高校入試が、岩手県は明日(3月8日)に、
宮城県は3月9日と、目前に迫っています。

受験まであと一息、追い込みで頑張る中3生徒の
合格を、皆さまもお祈りいただければ幸いです!

被災地の放課後学校「コラボ・スクール」
 

> > >

さて最近は、東北の話ばかり取り上げてしまいましたが、
カタリ場の授業も、3学期末まで熱気を帯びて、走り続いています。

今回お伝えするのが、「TJ」こと田島寛久さん
(大学4年)の“先輩の話”です。

これまでたくさんの高校生から、
「感動しました!」「自分も部活を頑張ろうと思った」
といった感想をもらってきた、彼の体験談。

「みなさーん!こーんにーちはーー!!」

体育館の壁の手前に集まった生徒さんへの
元気の良い呼びかけから始まります。

「TJです!今日は、オレの高校時代のハナシをします!」

紙芝居をめくって現れたのは、彼の高校時代、
野球のユニフォーム姿の写真。

ここから、15分間の語りかけがスタートします。

「オレは高校時代、何をやっていたかというと…。
 完全に野球部でした〜!

 今とまったく変わらない顔!
 違うのは坊主頭ってことかなあ〜(笑)

 オレはプロ目指して、野球のめちゃくちゃ上手くなれる
 学校に入りたかった。

 でもこの野球部は、部員数わずか30人弱の弱小高校。

 なんで、この高校が良かったかっていうと、
 もう本当に、すげえ監督がいたんだ!

 その人がこちら!

 見るからに怖い、やくざみたいなこの人!
 40〜50歳に見えるけど、当事28歳!
 いや〜、おかしいよね(笑)

 【でもオレはこの人のこと、本当に尊敬していた。】

 まず指導がめちゃくちゃ上手い。
 しかも、めちゃくちゃ熱い人!

 この人についていけば甲子園も夢じゃないって思ったんだ。

 そんな監督がオレたちによくこう指導していた。

『お前たち、勉強だけできればそれでいいのか?
 野球だけできればそれでいいのか?

  そんなことだけできたって、世の中で役に立たない
  人間なんて腐るほどいるぞ。

 数字に見える力だけじゃなく、人の役に立つような
 目に見えない力も磨いていけ。

 そうやってチームの中で役にたって、
 世の中でも役に立つ人間になっていけ。』

 オレはこれを聞いて、「よっしゃ、がんばろ!」って思った。

 でも、みんなの前でテンション高くしゃべっているけど、
 そんなオレ、実はこんなヤツ。

 いやー、まずは遅刻、忘れ物ばっかりして怒られて、
 したくないんだけどね。しかも下手クソ。

 当事のオレは、50m走っても遠投やっても、
 チームの中でビリッケツ。

 しかも、上達するのが遅かった。
 みんなはメキメキ上手くなるのに、自分は全然ダメだった。

 しかもしかも、オレ、めちゃくちゃビビリ。

 監督に怒られるのが怖くて、
 びくびくしながら野球やってて、動きが硬くなって、
 またミスして怒られる、っていう悪循環だった。

 こんな自分をみた監督は、こう言った。

 【お前、使えねえな】

 監督だけじゃなかった。
 チームのみんなからも…」

 これまでTJの語りを、そのまま載せましたが、
 彼がこの“先輩の話”を始めたのは、大学3年の頃。

 初めて授業に出たときは、「生徒さんとうまく喋れなかったけど、
 キャストの本気度にまず驚いた」というTJ。

 『学校の授業に入ることは、責任が伴うことだから』って言葉に、
 背筋がピンと伸びたそうです。

 大学生活では、「これと言ってやり遂げたことはないし・・」
 と話す彼ですが、高校時代の恩師から教わった言葉を伝えたいと、
 “先輩の話”をする役割に抜擢されます。

 ところが、生徒さんの反応はイマイチ。

 今のように、感動する生徒さんは少なかったそうです。
 
 生徒さんに親しみをもってもらおうと、
 面白おかしく語って、笑いはとれても、

 「どこまで自分の言葉が響いているのか?」

 彼らの行動をもたらす“きっかけになっているのかは、
 わからない・・・

 「ボロボロだった…」という彼に、ある学生リーダー
 (プロジェクトマネージャー)の女性が、
 一言だけフィードバックをします。

 【魅せようとしているからだよ。】

 この言葉の意味を、ずっと考え続けたというTJ。

 気持ちが入ってないのは、
 自分の過去を話すのに、恥ずかしさがあったからじゃないか?

 その時オレは、どう感じていたか?
 辛かったって言ってるけど、どれくらい辛かったのか?

 「今のままじゃ、生徒さんの心には響かない…」

 そんな思いでモンモンとするTJ。

 話の全文をテキストに起こす、という彼女からの
 “宿題”に取り組み、高校時代の自分に向き合いながら、
 その時の“感情”を話に乗せていきます。

「下手クソで、監督から怒られて、みんなの上達にも
 置いて行かれて、使えねえなと思われて・・・

 あの頃のオレは根暗だった。

 練習行くのが怖くて、グラウンドに向かう道も憂鬱で…、
 
 後輩が入ってきたとき、オレの同期がその後輩に言った。

『こいつ(TJ)のこと、先輩って思わなくていいから』

  【このチームに居場所はない】

 だって監督も、チームメイトも、オレのこと必要としていない。

 役に立つことなんか、もちろんできない。
 苦しかった。

 でも、何とか踏みとどまった。

 野球をやめたら、この高校に入った意味、
 なくなっちゃうから、何とか続けてました。

 そんなある時、監督のある言葉が心に留まった。

【小さなNo.1をたくさん作れ】

『チーム1足が速くなったり、肩が強くなったりすることは
 時間がかかる。3年間かけても、できないかもしれない。

 でも、今すぐ自分に出来ること、
 どんなに小さなことでもNo.1を作って増やしていけば
 必ず役に立つ選手になることができる。

 だからまずは、小さなNo.1から始めてみい!』

この言葉を聞いて、どうすればいいかわかんなかったけど、
 自分にできることはないか?自分なりに動いてみたんだ。」

> > >

 TJの話は、ここからが後半戦。

 彼が「自分なりに動いてみた」という試行錯誤から、
 夏の大会のクライマックスへと続きます。

 ですが。。長くなってしまいましたので、
 続きはまた今度お伝えしますね。

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【文責】 山内 悠太

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