授業の導入

導入事例:埼玉県立羽生第一高等学校

「カタリ場」「キャリア・リテラシー」を導入いただいている、埼玉県立羽生第一高等学校の齋藤尚雄先生(進路指導部主事)、坂庭千絵先生(第2学年主任)に、導入前の課題や実施時の様子、授業後の生徒の変化などをお伺いしました。

「失敗談を語ってくれたので、生徒たちは共感」

「失敗談を語ってくれたので、生徒たちは共感」

進路指導部主事 齋藤尚雄先生(左)と
第2学年主任 坂庭千絵先生(右)

学校名
埼玉県立羽生第一高等学校
所在地
埼玉県羽生市
創立年
1976年
課程
全日制課程
設置学科
普通科(特進クラス、総進クラス)
導入プログラム
カタリ場キャリア・リテラシー
対象学年
高校1年生、2年生
実施時期
2014~15年度

Q.導入前の課題は?

A.(齋藤先生)性格的には、非常に素直な生徒が多いです。ただ、いわゆるコミュニケーション力とか、人前で発表する力とか、慣れていないこともあって弱いです。そういう力をなんとか伸ばせる方法はないかと、ずっと考えてきました。
(坂庭先生)本校に入学してくるのは、中学校では中位くらいだった生徒たち。‘自ら何かを進んでやる’という経験があまりない生徒が多いです。中位の生徒は、上位の生徒についていく傾向があります。本校には、そういう生徒が多く入学してきます。誰かについていくのではなく、主体的に動けるようになってほしい、そしてもっと視野を広げてほしいと、常々思っていました。
(齋藤先生)また、こうした生徒の傾向に対してどうやって指導をしていくのか、という指導体制が整っていなかったという、学校側の課題も前提としてありました。

Q.カタリバに相談した理由は?

A.(齋藤先生)数年前までは、進路指導部がリーダーシップをとって系統的な指導をする力が弱く、学年ごとにお任せの状態でした。そこで、埼玉県の「キャリアアップ&学力アップ推進プロジェクト」に手を挙げることにしました。そして、‘生徒の視野を広げる’‘コミュニケーション力を鍛える’など、学年に応じた系統的な進路指導体制づくりを目的に取り組みはじめました。こうした流れのなか、いろいろなプログラムを調べていくなかで、坂庭先生から「こんなのがあるよ」と聞いてNPOカタリバの活動を知り、「これは、本校の生徒たちに合うんじゃないかな」と思うようになりました。まず、カタリ場は単発のプログラムになっていたところが取り入れやすかった点です。年間計画に合わせて、自前の授業や他のプログラムとの調整もスムーズでした。また、事前アンケートで生徒の状況を教えてくれるところも大変助かりました。「私は価値のある人間だと思うか」の問いに対する回答数値が、日本の高校生は全体的に低いと言われるなかで、本校の生徒は輪をかけて低いことを見せつけられました。これには正直、我々はいったい何をやってきたのかと思ってしまいましたね。これは、考えを変えてやっていかなきゃまずいぞと。生徒に自信を持たせるというか、とにかく今までと同じことをやっていたのではだめだということに気づかせてくれましたね。

Q.授業当日の様子は?

A.(齋藤先生)実際に見て一番思ったのは、生徒の目が違うというところ。おいおい俺の授業と全然違うじゃないかと(笑)。生徒の聴いている目が、今でも印象に残っていますね。
(坂庭先生)齋藤先生がよくおっしゃっているのは、失敗談を語ってくれるのが共感を生んでるんじゃないかと。また、授業を受ける生徒たちを見て、まわりの人たちが親身になって接してくれることを欲しているのだ、ということを改めて感じました。10分、20分話してくれるだけで全然違うんですよね。でも、なかなかふだんそういう機会がないのです。

Q.生徒の変化は?

A.(齋藤先生)1回カタリバのプログラムをやったから生徒が翌日からガラッと変わった、ということはないと思います。ただ、なにかしらどっかに残っていると思います。そしてもっと力があるのだから、「俺、推薦入試でいいよ」じゃなくて、カタリ場やキャリア・リテラシープログラムで得た気づきや意欲を、希望進路へのチャレンジに繋げていってもらえたらと思っています。
(坂庭先生)生徒の事後アンケートを見ると、やっぱり「自分でなんとかしたいと思った」といった前向きな感想がとても多いので、かなり心にズシンとくるというか、突き刺さる部分があるのだと思っています。それをずーっと持続させようというのが難しいのであって、でも突き刺さっているのだから時々に掘り返してあげれば、「あの時そうだったよね」「あの時言われたよね」という感じでいくと思うのですよね。単発プログラムの魅力を活かしつつ、どうやって生徒の気持ちを持続させていくかを考えることが、今後の課題だと思っています。
そして、もうひとつ。変化は生徒に対してのみならずで、私自身が「彼らに負けないぞ」という気持ちになりました。カタリバスタッフの方々は、ボランティアで来てくれているんですよね。自分の意志で来てくれているので、すごく情熱を感じました。この子たちに何かをしてあげたいという気持ちが伝わってきて、教員ももっとそういう気持ちを持たなければと、改めて思いました。私も負けないぞという刺激になりましたね。

Q.今後への期待は?

A.(齋藤先生)本校もまだキャリア教育の方針を変えてから2年なので、まずは今の2年生が卒業するまでのプログラム設計について、日々いろいろなことを悩みながらやっております(笑)。学校全体で取り組むというのは口で言うのは簡単ですが、他の先生方にもどう協力してやってもらうかなど、学校全体としてはまだまだ課題はたくさんあります。そこも含めて、カタリバをはじめ外部の方々と連携しながら、本校の取り組みを加速させていければと思っています。さらにカタリバには、スタッフのネットワークをどんどん広げていってもらって、多様な経験をしているたくさんのひとの話を(失敗した話もぜひ含めてね)、生徒たちに聞かせてもらえたらと思っています。

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