【キャストインタビュー】目の前の高校生と自分との間にだけ生まれる「時間の共有」
カタリバでは高校生の心に火をつける、「カタリ場」の授業に参加をしてくれるキャスト(ボランティアスタッフ)を募集しています。キャストに求められる役割はただ一つ、高校生に寄り添って彼らの言葉に耳を傾けることです。寄り添うこと、ときには待つこと。その「時間の共有」が高校生にとっての、大きな一歩を踏み出す小さなきっかけになることがあります。
今年の春カタリバに出会い、ボランティアとしての関わりを始めた、東麻衣さん。彼女がキャストを経験する中で、出会った高校生と感じた「時間の共有」について、お話していただきました。
カタリバボランティア募集中
http://www.katariba.net/volunteer/
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■「この人たちとやってみたい!」という直感
カタリバでのボランティアを始めたのは3年生の4月でした。私はもともと特別に教育に興味があったわけではありません。大学に入学し1年生の少しの間サークルには入っていましたが、どこか違うと感じてからは特にどこかに所属することもなく、大学生活を過ごしていました。大学の授業に出て学ぶことや、趣味の旅行に行くことは楽しかったですが、ずっとどこかに「もっと頑張りたいと思えることを見つけたい」と思う自分がいました。
大学3年生の春、「なにか新しいことを始めたい」という思いが高まり、Facebookで何度か名前を目にしたことがあった、カタリバの説明会に参加することを決めました。説明会では直感的に「面白そう!」と感じました。また、カタリバの説明会を運営している人たちは、説明会だけでなく実際の高校への授業も参加しているキャストであることがわかり、「この人たちとやってみたい!」という思いも生まれました。
■目の前の人と本気で向き合うということ
カタリバに来て驚いたことは、カタリバに集まる人は目の前にいる人と本気で向き合う人ばかりだということです。「目の前にいる人」というのは、授業で出会った高校生に限ったことではありません。元々私は、自分自身のことや自分の将来について、一人で考え込む性格ではあったのですが、カタリバに来てそんな私と向き合ってくれて、私とは違った価値観や新しい世界を見せてくれる人たちに出会い、知らなかった自分自身を知ることもできました。カタリ場の授業の時間でなくても「ナナメの関係」がカタリバにはいつもあるのです。
そんな人たちと接していく中で、私自身の高校生と向き合う姿勢も変わっていきました。参加当初は授業に参加しても、目の前の生徒さんから話を聞き出すこと、話をしてもらうことに集中していまい、「寄り添う」ことができていませんでした。
■本音が言えない男子高校生
カタリ場の授業では、「座談会」と言って班のキャスト(ボランティアスタッフ)と話をする時間と、「先輩の話」というキャスト自らの経験や失敗談を、紙芝居形式で行うプレゼンテーションを聞く時間があります。私がカタリバに参加するようになって半年ほど経った頃、ある高校の授業で男子高校生3人の班を担当しました。仲の良い3人組で、自ら話をしてくれる明るい高校生でした。しかし「座談会」で1人になった途端、3人のときには出てこなかった悩みが彼らの口から出てきました。3人それぞれが抱える悩みは「友だちに本音が言えない」という、同じ悩みでした。彼等の根底にある気持ちは、「本当のことを言ったら誤解されてしまうんじゃないか、それであればこのまま卒業するのでいいや」そんな考えでした。私に悩みを打ち明けてくれたきっかけは、偶然3人が同じ「先輩の話」を聞いていたことです。その「先輩の話」は中高一貫の学校で6年間、周りの雰囲気に合わせ自分のことを話せないまま、学生生活を過ごしたことを後悔している、そんな話でした。
しかしそれぞれとの座談会が終わり、3人全員がまた私のところへ戻ってきたとき、その悩みを口にする子は誰もいませんでした。私は本当に仲がいいと思っている3人が、同じ悩みを、それもお互いの関係に関わる悩みを抱えていることを知って、思わず3人に「本音が言えないのは本当の友だちなのかな?」という投げかけをしていまいました。気まずい沈黙。それでも私は彼等が口を開いてくれるのを待ちました。しばらくすると、一人がポツリと「自分自身はすごいネガティブなところがあって・・・」そんな話をしてくれました。すると他の2人も自分の気持ちを口にし出しました。「本当はもっとはっちゃけたいし、行事も楽しみたい・・」「弱いところがあって、ガラスのハートをもっている・・」
■高校生との「時間の共有」
この日の授業で彼らが進路やなにか具体的なことを決めたわけではありません。それでも確かにあの瞬間、私自身が彼等と「時間の共有」をすることができたと感じています。「身近な人と本音で話せるようになった」そんなきっかけを、作ることができたのではないかなと思います。「先輩の話」を聞いて彼等自身で感じた学びを、しっかり彼等の中に落とし込むことができたのではないかと思います。カタリ場にはゴールはありません。ゴールが、答えがないからこそ意味があります。その人がその時に出会った生徒と、自分との間にしか生まれない「時間の共有」に価値がある、そう思っています。
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今、東さんはカタリバでインターン生として、カタリバに新しく来る人のための説明会の運営や、ボランティアを始めたばかりのキャストのフォローをする仕事を担っています。新しく来たキャストが生徒と出会って、成長してく姿を見るのがすごく好きと、笑顔で話していました。
カタリバでは東さんのように、特別教育に興味があったわけではない人も多く活躍しています。「人が好き」「新しい世界に飛び込んでみたい」「何かに必死に取り組んでみたい」そんな方は是非一度、東さんの運営する説明会に足を運んでみてください。
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