【メルマガ】「女川町を復興させたい、そのために今は学びたい」

こんにちは、NPOカタリバ山内です。

今回はさっそく、前号のおさらいからです。

これまでは教室が足りず、お寺や神社を間借りしていた大槌臨学舎、
「11月に、プレハブ校舎ができました!」と、お伝えしました。

これをご覧になった、読者の方々からも・・・

「これから始まる東北の寒い冬に、子どもたちが
暖かい環境で勉強できるように・・」と、
たくさんのご寄付をいただきました!

本当にありがとうございます。

おかげさまで、折りたたみ式のテーブルや椅子などの備品を
さっそく揃え始めています。
プレハブ校舎で、初めての授業を行うこともできました!
http://www.collabo-school.net/?p=6014

これから始まる受験シーズンに間に合うよう、皆さまからのご支援で、
教室をフル稼働させていきたいと考えています。

【臨学舎 プレハブ校舎募金(〜12/31)】
 http://www.collabo-school.net/?page_id=5410

子どもたちが震災によって将来をあきらめることなく
学びに打ち込める環境を、みんなで実現するため、
ぜひご寄付(3,000円/1口)をいただければ幸いです!

= = = = = = = =

さて、11月下旬に女川向学館に行ってきたのですが。
そのとき、向学館の生徒にインタビューをしてきました。

高校3年生の阿部真奈(まな)さん、
2012年度の女川向学館、”最初の合格者”、
http://www.collabo-school.net/?p=4723

慶應義塾大学 総合政策学部(SFC)への進学が決まった生徒さんです。

「女川町を復興させたい、そのために学びたい。」

震災の体験から、大学進学の夢を持った彼女に、
これまでのこと、未来への思いを聞きました。

「震災があって初めて、勉強できることが
  幸せなんだと知りました。」

 阿部真奈さんは、大学に進学する生徒の割合が半分にも満たない、
 “進学校”ではない高校に通っています。そんな環境から、
 「なぜ慶應を目指したか?」という質問に、返してくれた答えです。
 
 「パティシエになれたらな・・」
 「大学に行くとしたら、好きな英語を勉強したいな」

 将来については、「なんとなくそんなことを考え」ながら、
 高校では演劇部の部活を頑張っていた阿部さん。

 その生活も、高校1年生の終わり、3月11日を境に大きく変わります。
 

 津波に飲みこまれ、家も家族もなくした彼女。

 しばらくは避難所で寝泊まりしながら、
 お祖母さんのもとで暮らすようになります。
  

 震災によって転校せざるをえなかった同級生もいた、
 というなかでも、定期テストは震災前と同じように訪れます。

「避難所だと全然勉強ができなくて、成績がボロボロになった・・」
 のをきっかけに、阿部さんは女川向学館に通うようになります。
 
 中学生の頃に習った恩師が、向学館で講師をしていたという偶然も!
 苦手科目だった数学を中心に、ボランティア・スタッフにも
 教えてもらいながら、勉強を熱心に再開します。
 
 高校2年生の2学期、次のテストでは、
 なんと70位も順位が上がったそうです!

 彼女は、高校と向学館に通いながら、
 「おながわさいがいFM」という地元ラジオ局で
 アナウンサーも務めています。
 
 きっかけは、避難所にいたときに、
 同局のアナウンサーが声をかけてくれたことでした。

 
 

「震災当時に、津波で家が流されて、雪も降ったなか
 助けてくれたのが、町民の方々。

 その恩返しとして、高校生の私が町に貢献できることは
 何だろう?って。目標がほしかったんです。
 若者が情報発信することで、何か役に立てないか?と。」

 このFMラジオでの活動を続けるうちに、
 「漠然としていたけど、アナウンサーになりたい」
  と思うようになります。

 
 そのためには、どんな進路を歩めばよいのか?
 県内の大学を調べても、「これ!」という大学は見つからない・・
 
 そんなとき、「ラジオ局で憧れていた人」が
 慶應義塾大学(SFC)の出身だと知ります。

 偶然にも、向学館校長の今村久美も“SFC”の出身。

 「久美さん」からAO入試の存在を聞いたのは、
 2年生の9月のときのことでした。
 
 「慶應のSFCに行きたい!」 

 そんなことを言い出しても、彼女が通っていたのは、
 大学進学者は半分にも満たない、決して「進学校」ではありません。
 
 友達や先生からも、あきれられたり、逆に心配されたり・・・
 
 それでも、「向学館ではみんなが応援してくれた」と言います。
 
 通常の学習指導に加えて、志望理由書の指導に
 深夜まで付き添ってもらいます。

 高校3年生の夏、無事に1次試験を通過した彼女は、
 難関とされる2次試験「面接」に臨みます。
 
 この面接も、SFCの卒業生・現役生に呼びかけて、
 Skypeを使っての模擬練習を、ボランティアで
 行ってもらいました。

 そして10月9日、面接試験の3日後に、合否が出ました。
 
 結果は、合格!!
   
 インターネットで自分の受験番号を見つけたときは、
 「しゃべれなくなった・・」そうです。
 
 「久美さんはじめ、向学館を通じて支えてくれた人たちに感謝したい。」
 そのときの気持ちを、大人びた表情で答えてくれました。
 

 AO入試では、「なぜSFCで学びたいか?」が問われます。
 
 SFCで掲げられている教育理念で、彼女の心に強く響いたのが、
 問題発見・解決のプロフェッショナルを育てること。
 

 今、女川町ではさまざまな問題が起こっています。
 
 震災直後には、避難所で物資が足りないなど日々新たな問題が起こり、
 そして今、問題になっている町の人口減少です。
 
 日本全国でさえ少子高齢化も進むなかで、それを止める方法は?

 彼女は、フィールドワークで町の人に声を聞いて回ったり、
 町長に会いに行って話を聞かせてもらったと言います。
 

 

 一方、全国に目を移すと、「震災」はだんだんと
 風化しつつあるのも事実です。

 「私にしかできない方法で、この現状を伝えられるようになりたい。」
 そのために「正しいメディアとは?を考えたい。」

 インタビューの最後、「大学で学びたいこと」を質問したとき、
 まだ具体的には定まっていないと答えた彼女ですが、
 そのときの力強いまなざしと、次の言葉が印象に残っています。

「私は、少なくとも4年間は、女川町から離れてしまいます。
  町に、何かモノや思いを残していきたいけど・・・
  でもこの体験を強みに変えて、また女川に戻ってきたいです。」

= = = = = = =

 震災で自宅や家族を失った彼女は、周りの人々から
 助けてもらった体験から、「女川町を復興させたい」
 という夢を持ちました。
 
 「人のためになりたい、そのために今は学びたい。」

 その熱意が、未来を切り開く力になることを、彼女が実証しました。
 
 来年3月まで、残り短い女川での高校生活。
 取材に訪れたその日も、彼女は自習室で勉強に励んでいました。

 【被災地の子どもたちのため、あなたにできること】
 
  ・ボランティアで参加
   https://www.collabo-school.net/?page_id=1318
   
  ・職員採用にエントリー
   http://www.collabo-school.net/?page_id=5210

  ・寄付で支援
   http://www.collabo-school.net/?page_id=26

> > > 最近のカタリバのニュース

 ・サッポロ様より、ハタチ基金を通じてご寄付いただきました

 ・大槌臨学舎の生徒が、朝日新聞にインタビューされました
  
 ・先週の地震は、向学館・臨学舎とも全員無事でした
  
 ・女川向学館では、タブレットを使ってゲーム作りを行いました

 ・カタリ場の「首都圏ボランティア」の募集を開始しました
  

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【発行元】特定非営利活動法人 NPOカタリバ

【文責】 山内 悠太

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