【メルマガ】「生き抜く力」を、子ども・若者へ 〜“カタリバの未来”を形づくる、理念を発表しました〜

こんにちは、NPOカタリバ山内です。

ずいぶんと寒くなってきましたね。
東京のカタリバ事務所でも、マスク姿をちらほら見かけ始めています。
皆様、ご自愛ください!

さて、10月28日、事業報告会を行いました。
(参加者で撮った集合写真はコチラです↓)

ご支援いただいている方々に、2012年4−8月期の活動を
報告するとともに、“カタリバの未来”をお話しした報告会。

そのなかで、改めて定義した理念、
「『生き抜く力』を、子ども・若者へ」を
今村久美より発表しました。

本号では、その理念についてお伝えしますね。

= = =

「未来を予測するように、言葉を置いています。」

今村のスピーチは、そんな前置きから始まりました。

「今はまだ上ブレに思えるところもあって、
 実態と合わないこともあるかもしれないけど、
 実態を合わせていくように、この言葉を目指してやっていきたい。」

コラボ・スクールの設立や、カタリ場の展開に伴い、
NPOカタリバは、新しいメンバーを迎え、
新しいフェイズに入っていくタイミングにいます。

普通の人が「幸せだな」と思えるような20年後を創れるように、
「事業で迷ったとき、現場レベルで迷ったときに
最後に戻れる指針になるように、みんなで議論しながらつくった」
のが、この理念でした。

※以下よりPDFでダウンロードのうえご覧ください
 http://www.katariba.net/wp-content/uploads/2012/11/ikinukuchikara_framework_02.pdf

 「私たちがこれから生きていく未来は、とても複雑な社会になる」

 この前提に立ち戻ることから、私たちの議論はスタートしました。

 社会の変化は、子どもたちの「教育」や「キャリア」にも
 大きな影響を及ぼします。

 今村が2枚目のスライドで示したのが、
 「世帯年収が、卒業後の予定進路に格差を生んでいる」
 という統計データでした。

 (出典:東京大学大学院教育学研究科 大学経営・政策研究センター
  「高校生の進路追跡調査 第1次報告書」(2007年))

 高校生の家庭の世帯年収ごとに、「4年制大学進学」と「就職など」を
 比べたところ、年収が低いほど「就職など」が多くなること。

 高卒者の5割は3年以内に退職してしまうこと。
 高卒就職の過半数を占めてきた製造業は、人件費の安い
 アジアへの移転が急速に始まっていること・・・

 そんな一般的に知られた傾向に続いて、示されたのが
 「高校生が進路について相談する相手」についてのアンケートです。

 「1位:母親、2位:友達、3位:父親、4位:高校の担任の先生、5位:兄弟」
 (出典:リクルート進学総研(2011)「高校生と保護者の進路に関する意識調査」)

 高校生の進路選択は、家庭や学校など身近な環境に
 左右されることが、改めて分かります。
 

 最後に紹介したのが、
 「低学力の子どもほど、学習意欲が低下する」
 というデータです。
 
 「勉強でわからなかったときに、どうするか?」

 そう聞かれたときに、「そのままにする」と答えた割合が、
 現時点の学力が低い生徒ほど多いのです。
 今村は話します。

「もちろん、学校の勉強が、その人の価値を
 すべて決めるわけではありません。

  ただ、私たちが今、学習指導をしていて
  目の前の生徒たちと直面しながら感じることは、
  学ぶことへのモチベーションには、大変な格差があるということです。」

 

 わからない問題にも果敢に取り組もうとする子どもは、
 やっぱり既に勉強ができる生徒が多いこと。

 一方で、「難しいことは分からない」と投げ出している生徒には、
 学力が低い子どもが多いこと。

 そして元々学力が高い生徒と話してみると、
 家庭で教えてくれるサポートが整っていたり、
 学習塾に通える所得レベルにあったりする子たちが多くいます。
 
 学力だけではなくて、自分が知らないことを知りたいと思う「好奇心」や、
 自分がわからないものを、わかろうとする「主体性」まで
 「環境」に左右されてしまうということ。

 教室に立って子どもたちと接するなかで、感じてきたことを、
 今村は話します。

 自分自身も、飛騨高山の高校から慶應義塾大学SFCに入学したとき、
 「留学して帰ってきた子が、周りにはこんなに多いんだ」と
 教育機会には格差があるのを実感したという今村。

 このような背景のもと、私たちが取り組むと改めて決めたのが、
 「子ども・若者の未来を生き抜く意欲や能力が、
 生まれ育った環境によって左右されてしまう」という課題です。

 「どんな社会の変化があろうとも、どんな困難が待ち受けていこうとも、
  この社会を子ども・若者が生き抜いていける力。

  そして、困難に立ち向かい、未来を創っていける力を、
  どんな家庭で、地域で育った子ども・若者にも届けていきたい。」

 そのためにカタリバが改めて定義した理念が、
 「『生き抜く力』を、子ども・若者へ」です。

 カタリバが考える「生き抜く力」とは、「自律」「共生」「イノベーション」。

 1つ目の「自律」は、どんな環境にいても、「未来は自分自身で創り出せる」
 という期待感を持ち続けられること。そして、自ら目標を定めて
 目の前の「やるべきこと」から、逃げずに向き合うことです。  

 そして、2つ目は「共生」。
 「震災があって、私たちが学んだのは、
  お互いに助け合うことの大切さだと思います」
 
 そんな言葉とともに、今村が引き合いに出したのが、
 グローバリゼーションのなかで、「誰が勝ち抜いていくのか?」
 という議論になりがちな傾向。

 「自律心ばかりではダメで、お互いを思いやる心をもった
  子ども・若者を、カタリバは育てていく。
  普通の人が『幸せだな』と思える20年後をつくっていく」

 

 今村のスピーチは続きます。

 「とはいっても、社会はどんどん進んで行きます。
  大企業でさえ、正社員雇用の枠を外国人採用に切り替えていく
  大学を卒業しても、就職できない若者が生まれている。

  時代が変わっていく、社会が変わっていく。
  大人もそのことをちゃんと理解する、変わることを恐れずに
  それを変えていくプレーヤーに皆でなっていく」

 そんな思いのもと、3つ目に定義したのが「イノベーション」です。

 時代がどのように変化しても、自ら考え、課題を設定する。
 その解決に向けて、リーダーシップをとりながら変革を進めていく。
 このように、自らの「持ち場」で、新しい価値を産み出していける。

 自律、共生、そしてイノベーション。
 この3つの力をそなえた子ども・若者を、カタリバは育てていきます。

= = =

 これまで、改めて定めた理念と社会課題、
 そして、「生き抜く力」について説明させていただきました。
 
 では、私たちが思い描いた「未来」を
 どのように現実に移していくのか?

 そのための「戦略」も合わせてお話ししました。

 これについては、次号でお伝えしますね。
 

 ※理念の全体像については、プレスリリースをご覧ください!
 

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