【メルマガ】 “小さなNo.1”を見つける

こんにちは、NPOカタリバ山内です。

前号でもお伝えした、コラボ・スクール卒業生が
上京する「やくそく旅行」。

4日間で数多くの大人たちに感謝を伝え、
“将来”を考えるうえでたくさんの気づきをもらい、
子どもたちは昨夜に無事、東北へと帰っていきました。

そんな彼らが、「未来へのやくそく」を発表した
3月20日の報告会。その模様をNHKで報道いただきました!

本日時点では、こちらのWebでもアーカイブが残っているので、
よろしければお早めに、ご覧いただければ幸いです。

【コラボ・スクール】
 ~ 一人ひとりが参加してできた、被災地の放課後学校 ~
 (ボランティア・ご寄付を募集しています!)

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さて今回のテーマは、カタリ場の“先輩の話”。

2月に配信した、元高校球児の大学生の話の続きからです。

前編:「甲子園を目指して / ある控え部員の挑戦」
 

「小さなNo.1を見つける」

監督からの言葉に発奮した、TJ(田島寛久さん)は、
チームのなかで自分ができることを模索して、
ガムシャラな取り組みを始めます。

 「まずはとにかく練習!」

 誰よりも早くグラウンドに出て、練習して、
 終電で家に帰っても少しでもバット振って、
 誰よりも練習しようとした。

 試合中ベンチにいても出ている選手が
 元気になるような声かけを考えながらやったり、
 暑がっている選手に水をもっていってあげたり、
 少しでも役に立つことを考えてやった。

 野球以外でもクラスの友達の気持ちをわかるために、
 ちょっと冷静に見てたりもした。

 そうやって、チームに役に立って、試合に出るために、
 自分にできることでNo.1を重ねていったんだ。

 そして迎えた3年夏。すごい結果が出たんだよね!

 うちのチームで最高の

 【東東京大会、ベスト8!】

 しかも当時、甲子園常連だった高校に、4-0の完封勝利!

 いや~!すごかった!

 ヤクルトの本拠地、明治神宮球場で
 プロ選手の名前が並ぶ電光掲示板には、自分たちの名前!

 さらにテレビ中継までされて、最高の大舞台で、
 野球できて、素敵な思い出を作ることができました!

 でも・・肝心のオレは

 【公式戦出場0】

 ダメだった。

 いやー、みんなカッコよかったよ、

 あんな大舞台で、自分より2倍くらいガタイある相手に
 必死に喰らいつく、カッコいいあいつら。

 オレはそれを、見ていることしかできなかった。

 しかもテレビを見ていたクラスのかわいい子が
 オレの隣の友達に「カッコよかった~!」って
 駆け寄ってくるんだよね。

 オレは、その輪に入ることができなかった。

 【だって試合、出てないから。】

 オレは、その場から何も言わずに離れていきました。

 もうね、野球のための高校生活がさ、何も残んなかったなって。
 最後まで使えないやつで終わったなって。

 もう真っ暗だった

 そんなオレに、監督はあることを言ってくれました

 【田島は役に立った。】

 部活の最後、選手も保護者も全員で集まったミーティング。

 みんなの前で、監督はオレの名前を出して言いました

 「田島は、誰よりも努力をしてきました。

  田島は、その姿勢をみんなに伝染させました。
  田島がいなければ、ベスト8もありえませんでした。

  田島を試合に出せなかったのは、私の責任です。」

 監督は号泣しながら話してくれました。

 「あぁ、オレ、できることあったんだ」って思えた。

 クソみたいな選手だったけど、みんなの役に立っていたんだ。
 無駄じゃなかったんだって思えたんだ。

 監督だけじゃなかった

 これは、オレのクラスの友達。

 この子たちも、卒業するときの最後のメッセージで
 こんなことを言ってくれました。

 「野球、結果はだめだったかもしれないけど、
 授業終わってダッシュでグラウンドに向かう、
 全力でやりきったお前は、本当にカッコよかったよ」

 そんなことを、メッセージカードにびっしり書いてくれました。

 これ見て、「努力を見ていてくれる人って
 いるんだな」って思ったんだ。

 こんな風に、見守ってくれる仲間も、
 野球やってなかったら、いなかったんだ。」

 高校球児としての彼の実体験は、ここで幕を閉じます。

「自分の過去に、ここまで真正面から
  向き合ったことなかったから。

  そのときの正確な感情とか、人に話してみることで、
 初めてつかめたんだなって」

 先輩の話を作りこみ、たくさんの生徒さんに語ることで、
 彼の得た気づきです。

 そのうえで、彼がもう一つ気づいた大切なこと。それは、

 【自分の実経験のなかに、価値観は埋もれている】

 ということです。

 この話の最後に、生徒さんに語りかける彼の“先輩の話”。
 もう一度、その語りかけへと戻ります。

 

「で、まとめてみるとね、こんな感じになってると思って

 オレ、野球で上手くいかなかったけれど、失敗したけれど、
 そこから、誇りとか仲間とか、生まれたものがあると思ってんだ。

 たとえ失敗しても、全力でやったなら、何かが残る。

 そしてこれは、野球だけじゃないと思うんだ。
 勉強でも、別の部活でも、バイトでも、全部一緒。

 だから最後にみんなに伝えます。

 【弱くてもいい、前に進もう】

 みんな、今、自分がダメだなって思ってることが
 あるかもしれない。でもそこで止まるってのは
 ホントにもったいないぜ!

 野球部に入って、本当にクソ野郎だったオレでも、
 「小さなNo.1」を少しずつ積んで、得たものがあったんだ。

 だからみんなも、本当に“やりたいこと”や“なりたいもの”
 に向かって挑戦してみようぜ。

 そこでもし失敗しても、それは絶対無駄になんないから。

 そうやってどんなにダメでも、たった一歩でも、
 半歩でも、前に進もうとしているその姿が、
 本当にカッコイイんだと思うんだよ。

 だから、だから。どうか諦めないでほしいし、
 みんなにもぶつかってほしいんだよ

 そうやって生きれば、絶対に後悔しないから、
 後でよかったなって思えるから。

 そしてみんなに、最後のお願いです。

 自分の周りで、もしこんな風に頑張っているやつが
 いるのを見かけたら、応援してあげてほしい。

 その言葉は、自分が思う以上に、その人の力になっているから。
 (終了)

 
 このTJの話は、これまでたくさんの生徒さんから、
 「感動しました」「自分も部活を頑張りたい」といった
 感想をもらってきました。
 

 たとえば「小さなNo.1を見つける」という言葉。

 部活や勉強などそれぞれの分野に落とし込んで、
 授業の最後“約束カード”で「自分も!」と宣言したり、
 後日にWeb掲示板で「見つけました!」と報告してくれる
 生徒さんがいます。

「頑張ってるはずなんだけど、結果が出ない。
 弱い自分を嫌いになってしまっている。」

 そんな自分みたいな生徒が、たくさん待っている
 かもしれないと、TJは話します。

「その努力はやり続けていれば、絶対いいことがあるし、
  自分に自信をもってもらいたい」

 そう思いを語った彼は、この“先輩の話”を
 「大きな“約束カード”」みたいなものと話します。

「もしオレの話を聞いて、憧れてくれる生徒がいるなら、
  応え続けなければいけないと思うんです。

  たとえ、その生徒さんとの出会いは、一度きりだったとしても、
  『こんなことを大事にして生きていくんだ!』って
  その人に約束してしまっているから。

  自分がちゃんと生きていかないと、ウソになるから。
  宣言した言葉に、恥じない自分でいなければって。」

 高校時代の経験を人に話すことで、自分を相対的に見れて、
 強みを発見できたかもしれない反面、
 自分の「弱さ」もわかったと言います。

「自分は弱い人間で、だからこそ、そんな人に共感するし、
 気になってしまう。

 だから、そんな人を勇気づけられるような人になりたい。」

> > >

 過去の自分に向き合い、さらけ出すことで、
 自らの進むべき道を選ぶためのヒントをもらう。

 「生徒さんのために」を愚直に考えて行動することで、
 逆に「自分の言葉に追いつこう!」と力をもらう。

 カタリ場が、生徒さんのためだけでなく、
 その担い手の成長にも、役立っている側面です。

 ご興味をもった大学生・専門学校生の方、平日昼に
 ご都合のつく社会人の方は、ご参加になってください!

 【ボランティア(キャスト)の募集
  

> > > 最近のカタリバのニュース

 ・群馬県で初めて、カタリ場を行いました!

 ・女川向学館・大槌臨学舎の中3の合格発表がありました
  http://www.collabo-school.net/?p=2603
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 ・新日本有限責任監査法人様とアドバイザリー契約を締結しました
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<編集後記>

冒頭でご紹介した、コラボ・スクール卒業生代表による
“未来へのやくそく”。一部を紹介します。

「でも今は、大槌復興に役立つという夢を持つことができました。
 この夢を実現するために、これからもいっぱい勉強していきたいです。」

「これからは支援される側を卒業し、高校生活1日1日を
 大切に生き、自分が復興のために何ができるか、
 何をしたいのかを探していきます」

私は、生徒たちの力強い言葉に泣きそうになりながら、
読者の皆さまにお伝えしようと、会場の後ろで
必死にキーボードをたたいておりました。。

やくそく旅行での子どもたちの様子、
また後日、レポートさせていただきます!

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