被災地の中学生の“職場体験”支援など、文部科学省により採択いただきました
特定非営利活動法人NPOカタリバは、2012年1月から宮城県女川町で、
中学生のキャリア学習の支援活動を実施しています。
同活動は、文部科学省による平成23年度「復興教育支援事業」の一つとして採択され、
女川町女川第一・第二中学校において、職場体験の活動や修学旅行内での体験学習を
企画運営するとともに、キャリア教育のプログラム・教材・指導ガイドなどを作成いたします。
被災地での「職場体験」が受け入れ困難
宮城県女川(おながわ)町は、東日本大震災による津波で大きな被害を受けた町です。
住居倒壊率は82.6%と被災地で最も高く、町立第二小学校の児童の9割、
第一小では4割が津波で自宅を消失しました。
NPOカタリバは、同町で2011年7月にコラボ・スクール「女川向学館」を設立。
仮設住宅や避難所などで暮らし、落ち着いて勉強する場所を失った
子どもたちのために、英語や数学など学習指導を放課後に行ってまいりました。
一方、被災地では学習指導だけではなく、、未来の復興を担う子どもたちが
将来に希望や目標を見出し「生きる力」を培うため、キャリア教育の重要性も増しています。
女川町では震災前から、町内の中学生への「職場体験」プログラムを実施していましたが、
地域の企業も被災したため、職場体験の受け入れ先が見つからない、という課題が生じていました。
また、キャリア教育を推進するための人員的な余裕がない学校も被災地には多く、
外部人材との連携によって、学校の負荷を軽減することも求められていました。
文部科学省による「復興教育支援事業」
文部科学省は、「被災地の復興とともに、我が国全体が希望を持って、 未来に向かって前進して
いけるようにするための教育(復興教育)を進めるため、被災地における多様な主体による
特色ある教育支援の取組や、今後必要となるカリキュラムや教育プログラムの作成を支援するとともに、
その成果を全国発信する」ための「復興教育支援事業」を、平成23年度に実施します。
NPOカタリバは、高校生が“将来”や“進路”を前向きに考える“きっかけ”づくりを目指して、
大学生スタッフによる対話型キャリア学習プログラム「カタリ場」を行っています。
2001年から463校を訪問して、82,800人の生徒に授業を行ってまいりました。
また、2011年8月には東北の高校生103人を東京に招待して、「キズナハイスクール」を実施。
職場訪問やワークショップなどを通じて“東北の未来のため、私たちができること”を
語り合うなど、被災地へのキャリア教育にも着手してまいりました。
この度、NPOカタリバは、文部科学省による「復興教育支援事業」に、
女川町でのキャリア教育活動を申請。同省より採択いただきました。
(参考:平成23年度「復興教育支援事業」採択団体の決定について)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/24/01/1315408.htm
職場体験や修学旅行での体験学習を支援
被災地におけるモデル校として、女川町女川第一中学校・第二中学校における
キャリア教育を、以下の2つの活動を通じて支援いたします。
1.職場体験活動
:受入企業の開拓・調整に加え、事前事後学習を含むプログラム運営などコーディネートをします。
2.修学旅行内体験学習
:学校の修学旅行を、地域の外の社会との関わりを持ち、ふるさとと自身の未来を考える
キャリア教育のための貴重な機会ととらえ、訪問先のコーディネートや事前事後学習を含む
プログラム運営を担います。
職場体験・修学旅行では、“対話”と“目標設定”を重視したプログラムを企画開発します。
実施報告書を作成し報告会を開催することで、ノウハウを広く公開します。
職場体験活動は全国的に普及しており、2010年度の中学校での実施率は97.1%に達します。
高校でも同年度で普通科73.4%、専門学科94.7%と普及傾向にはあるものの、
1日のみの参加がほとんどを占めており、活動の充実化が課題となっています。
NPOカタリバは、全国の中学校における職場体験活動、キャリア学習活動の
モデルケースの一つとなることを目指して、被災地から学習プログラムを企画開発いたします。