【メルマガ】「おまえなんか、いらんわ」~傷あとから踏み出す“一歩”~

こんにちは、NPOカタリバ山内です。

寒い日が続くと、春が待ち遠しくなりますね。

4月8日。年末にお知らせしたとおり、子どもたちのための
チャリティラン「パラカップ」にカタリバも参加します。
http://www.paracup.info/

ボランティアの募集はキャンセル待ちになってしまいましたが、
ランナーはまだまだ募集中。

心地よい春風のなか、多摩川の河川敷にて、
子どもたちのための小さな一歩、踏み出してみませんか?

エントリーは以下よりお待ちしています。
http://www.paracup.info/information/entry.html

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さて皆さん、「定時制」という言葉、
聞かれたことあると思います。

昼間は働くなどしている生徒さんが、夜間に通う
定時制の高校。そこでも、“カタリ場”は行われています

私たちが一般に思い浮かべる「高校」(全日制)と比べて、
生徒さんの悩みはさまざま、というケースも。

今回はその定時制の生徒さんの話を中心に、
大学生キャスト、「たっくん」に話を聞かせてもらいました。

(高校生との距離を近くするため、カタリバではニックネームで
 呼び合う習慣があります)

 ある県立高校の、夜間部での授業のことです。

 終了のチャイムも鳴った最後の最後に、ある生徒さんが、
 たっくんのもとに歩み寄ってきてくれました。

 少し前に、たっくんの“先輩の話”を聞いてくれた
 女子生徒さん。

 よく見ると、泣きはらした目をしていました。

「どうしたのだろう?」
 そう思いながら話しかけると返ってきたのが、

「私も同じこと言われたから、すごく気持ちわかりました」
 という答え。

 何のことだろう?さらに質問したたっくんが
 彼女から聞き出した「同じこと」とは、

「おまえなんか、いらんわ」
 というショッキングな言葉でした。

 “先輩の話”でたっくんが話したのは、
 大学に入学した頃の話

 高校時代は、「服装もダサくて、女の子からも人気がなくて」
 引きこもっていた、と控え目に言うたっくん。

 “リア充”になろうと決めていた大学生活。
 彼女もできて、テニス部にも入って、息の合った仲間と
 思いっきりキャンパスライフを楽しんでいました。

 でもやっぱり、体育会の部活と大学生活の両立は大変。

 「大切にしたいのは、彼女との時間」と
 悩んだ末に、部活をやめる決意を、慕っていた
 先輩に伝えました。そこで返ったきたのが、

 「おまえなんか、いらんわ」

 というショッキングな答えでした。

 「部活にいる間は、あんなに優しくしてくれて、
 “一緒にやろうよ”と言ってくれた先輩なのに、

 こんなにも態度が変わるのか・・」

 その後たっくんは、部活をやめてまで大事にした彼女にも
 フラれてしまいます。精神的に“どん底”になり、
 大学にも行けず、引きこもるようになったそうです。

 そんなときに出会ったのが、ある学生団体。
 
 弱い部分を見せても、受けいれてくれ、
 ありのままの自分を認めてくれる仲間たち。

 たっくんはようやく、立ち直ったといいます。

「その人だけに、こだわらなくてもいいんじゃないかな?
  大事にするべき人って、周りで他にもいるかもしれない」

 そんなメッセージを伝えたところ、
 話の後に泣き出す生徒さんも何人かいたそうです。

 友達との関係、家族との軋轢、恋人への想いなど、
 一人ひとりのシチュエーションに置き換えて、
 感極まってしまう生徒さんが多かったのでしょう。

 授業の最後に歩み寄ってきてくれた、
 冒頭の女子生徒さんもその一人。

 彼女も同じように、中学の頃にいじめを受けて、
 友達から、「おまえなんかいらない」と
 言われたそうです。

 話を聞きに行くまでは、お笑いのテレビや、「テニスの王子様」など
 軽い趣味の話も含めて盛り上がっていた彼女の班。

 たっくんの話を聞いた後、泣きながら戻ってきた彼女に、
 班の先輩が声をかけると打ち明けてくれたのが、
 いじめられた体験でした。

「自分がすべて否定されたように感じて、
 『自分なんか必要ない人間じゃないか』って

 つらくて死のうかなと思って、でも親のことを考えたら、
 そんなことも言えなくて・・・」

 1つの衝撃的な言葉がきっかけで、負の過去を思い出した彼女。

「すごくつらくて、やっぱりまだ引きずっていて、 
 でも、同じような過去を乗り越えて、
 今、前向きに生きている先輩がいるって勇気付けられて」

「つい彼女は、自分を否定することに慣れてしまっています」

 彼女を担当した班の先輩が、先生への引継ぎシートに残した言葉です。

 今は高校生活も楽しいし、
「昔は他人を信じられなかったけど、今では信じられる」

 つらい過去も「いい経験だった」と力強く話してくれたものの、
 アルバイトの面接に落ちるたびに
「私なんてダメだ・・・・」と思ってしまう彼女。

 バイトへの応募のため電話をかけるのも怖くなってしまった、
 という彼女が、班の先輩と一緒に立てた行動目標は、

 「アルバイトにもう一度、応募してみる」

 面接に落ちて否定されたり、結果聞いたりするのは怖いけど、
 一歩踏み出してみる。そんな決意を“約束”した彼女。

 ワークシートにも、「後悔せずに生きようと思った」
 「他人に流されず、自分の意思で生きようと思った」
 と力強く書いてくれました。

 

 「自分はダメな人間だと思う」 65.8%
 「自分は人並みの能力がない」  46.7%
 「自分が参加しても社会は変わらない」 68.3%

 高校生を対象としたアンケートで、このような結果が出ています
 (「中学生・高校生の生活と意識」財団法人日本青少年研究所 2009年2月より)

 いじめにあっていた人、昔やんちゃをしていた人、
 片親の人、学費を自分で稼いでいる人、・・・

 定時制の高校には、全日制高校にも増して、
 さまざまな生徒さんがいます。

「大事にしているのは、とにかく話を聴くこと」
 たっくんは言います。

 派手な服装をして、友達とキャッキャ話して、
 一見楽しそうにしていても、表面的な話だけでなく、
 マジメな話をできる友達は、意外に周りにはいない。
 
 かといって、先生や親にも相談できない・・

 そんなとき、「利害関係のない、身近な先輩という
 ポジションが機能している」のかもしれません。

 “自己肯定感”をもてずにいる高校生たち一人ひとりから、
 良いところを引き出し、言葉に出して認め、
 自信を持ってもらう。

 “カタリ場”の授業が、そんな機能も担えるようでありたい、
 とスタッフたちは日々、授業の現場に向かっています。

【募集】

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  たまたま入った学校、生まれ育った地域、小さな頃の家庭環境…
 私たちは、“環境”に大きな影響を受けて育ちます。

  教育の格差、機会の不平等・・・どんな環境にいる
  子どもたちでも、将来に向けて意志ある1歩を踏み出す
 “きっかけ”さえあれば、異なる未来を創れるはず。

  すべての高校生に“カタリ場”を届けるために。
  私たちの活動をご支援くださるサポーターを募集しています。

   http://www.katariba.net/heart/

<編集後記>

前号にてお伝えした、「大槌臨学舎」の開校式。

無事に終了いたしました。応援のメッセージ、
ご寄付などいただいた皆さま、ありがとうございました。

臨学舎の開校、嬉しいことに日本経済新聞など
さまざまなメディアでも、取り上げていただきました
http://www.katariba.net/k-news/9595.html

現地はだいぶバタバタしてしまっていて、
まだ様子をお伝えできていないのが大変恐縮ですが、
レポートが出来次第、下記のTwitterやFacebookで
お伝えさせていただきます!

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ちなみに、先週末には東京・東北の全職員、
学生リーダーの希望者が集まって、
四半期に一度の「全体会議」を行いました。

その様子も、↑のFacebookページにあげております。
よろしければ、ご覧ください!

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【発行元】特定非営利活動法人 NPOカタリバ
http://www.katariba.net/

【文責】 山内 悠太

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