
若者の「仕事」や「教育」をめぐる問題は、どうすれば解決できるでしょう?
若い世代が、今よりもう少し将来に希望をもち、自分に自信を持てれば、
そして、意思ある進路選びをできれば、日本はもっと元気になるはず。
そのために私たちが出した答えは、高校でのキャリア学習の機会を創ることです。

ほとんどの高校生は、自分について深く考えたり、社会と接する機会がありません。このままじゃいけないと思っても、人の目を気にして、一歩を踏み出すことができない子も多い。就職活動で初めて、やりたい仕事を探すのではもう遅いのです。
大人になる直前、約98%が入学する高校。もし高校生の頃に、進路の悩みを先輩に相談したり、大学や仕事について体験談を聞く機会があれば。将来に向けて背中を押される“きっかけ”さえあれば、主体的になれる生徒も多いはず。そう考えて始めたのが、「カタリ場」の授業です。


私たちNPOカタリバは、大学生スタッフが中心となって高校を訪問。
「進路」や「総合」の枠で、キャリア学習の授業を行っています。
高校生から、「興味のある分野」や「進路についての悩み」の話を引き出し、少し年上の先輩が、
「大学生活で熱中していること」や「高校の頃の失敗談」を語りかけます。

2時間の授業を受けた高校生は、たくさんの“きっかけ”をつかんでくれました。
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カタリ場の授業は100〜150 分間、3つのパートに分かれます。
1. 座談会(自分を理解する) キャストが生徒に「興味のある分野」や「進路についての悩み」など質問していくことで、生徒が好きなこと、嫌いなことを言語化するとともに、未来の夢や漠然とした不安などを引き出していきます。生徒の自己理解を促します。 |
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2.先輩の話(ロールモデルを見つける) キャストの紙芝居形式のプレゼンテーションを聞きます。大学生活で今打ち込んでいることや夢、進路選びの失敗談や、高校生のときの自分への後悔など、内容はさまざま。「なりたい自分像」の具体例を見つけます。 |
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3.約束(目標を設定する) これまで見つけた憧れや、見えてきた自分の興味関心などを行動につなげるために、今日からできる小さな行動をカードに書き込みます。スタッフと「約束」をすることで、授業の興奮を日常生活につなげます。 |
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先輩が動機づける「ナナメの関係」
高校生たちに本音を語ってもらうために、鍵になるのが「ナナメの関係」です。利害関係のある親でも先生でもない、同じ視点になりがちの友達でもない、少し年上の「先輩」に憧れ、刺激を受けることで、彼らを動機付けているのです。



これまで約600校で約12万人の生徒に、授業を行ってきました。(2012年度末までの累計)
これまでの活動は、たくさんのメディアにも注目いただいてきました。

日本にいる高校生は、約320万人。そのなかで私たちがフォーカスするのは、特別な「エリート」でもなく、「中退者」や「不登校者」でもない、8割の“普通”の高校生。日本が、上位層だけが頑張る「二極化社会」にならないために。「1人の100歩より、100人の1歩を!」を合言葉に、すべての高校生にカタリ場を届けることを目指しています。
「自分たちもカタリ場を行いたい」という |
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青森県では教育委員会が、兵庫県では地元NPOが、沖縄県では学生団体が中心となってカタリ場を広めています。 |
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カタリバの授業は、公立高校の限られた予算に合わせるため、実はほとんどが、「赤字」でも行っています。

人生で何回、本気で人と向き合い話ができるのでしょうか。人生で何回、本気で相手の事を考え行動できるのでしょうか。 カタリバのキャスト通じて「自分から逃げないこと」の大切さを実感しました。自分の言葉で語り、課題を見つけ主体的に行動する。これからの社会に必要なチカラを育む場、NPOカタリバ。高校というフィールドでおこる「本気」の化学反応が、前向きに人生を選択するチカラになりますように。島根県からサポート会員として応援し続けます。

私たちは、それぞれに大切にしている“心の宝物”を持っています。でも、曇って見えなくなってしまったり、存在すらしていないように感じてしまったりする時があります。そんな時、再確認をする機会を与えてくれるのがカタリバです。“心の宝物”と、そのエネルギーこそが、一人一人が自分らしく輝く人生を歩むために必要なものです。一人一人の大切な“心の宝物”を手に、昨日よりちょっとだけ前に進み、自ら育んでいくキッカケと勇気引き出してくれる…そんな役割を果たしているカタリバを、これからも応援していきたいと思っています。



