キャストとの約束が生んだ「予選通過!」高校生からの嬉しい報告
吉野 貴也さん (たーぼう)
「予選通りましたあ――(*^^*)!!!!めっちゃ嬉しかったです!!」
キャストの吉野貴也さん(ニックネーム:たーぼう)が嬉しそうに見せてくれたのは、Web上の掲示板(カタリバカフェ)の書き込み。
ある生徒さんが報告してくれた、授業で結んだ「約束」の“その後”でした。

高校生からの掲示板への書き込み
7月、夏休みが間近に迫り、どことなくフワフワとした雰囲気も漂うなか、
蒸し暑い体育館で高校2年生に行われた授業でのことです。
「たーぼう、ちょっとこっちきて!」
授業の終盤、まとめの時間に入った頃に、たーぼうが、他のキャストから呼ばれたのは
彼の「先輩の話」を聞いた女の子がいる班でした。
「憧れを追いかけたい人へ」
というタイトルで、たーぼうが紙芝居をめくりながら
語りかけた、高校・大学生活の15分間のストーリー。
この話を聞いて強く共感しつつ、自分の高校生活について
悩んでいる生徒さんがいるので、話してほしいというのです。
■
たーぼうが話したのは、先輩に憧れて、サッカー部とミュージカルに熱中した高校時代。
「先輩たちみたいになりたいなって思った。
オレもあんなふうになりたいなーって思って、高校3年間で
先輩たちに追いつくことを目標に、頑張ることに決めたんだ!!」
部活も勉強も、しんどいながらも続けたこと。
「先輩に近づきたいけど、追いつけない自分・・・」
そんなもどかしさを抱えながらも、サッカーではレギュラーになり、
ミュージカルでは主役をつかんだこと。

高校生と語り合うたーぼう
でも、最後の受験勉強では、先輩の行った大学を目指したものの、
志望校には落ちて、「すべり止め」にしか受からなかったこと。
そんな挫折の後も、大学では新しい目標を見つけたこと。
彼のそんな「先輩の話」を聞いて、「私と同じだ!」と強く思ったのは、ダンス部に所属する女の子でした。
週5日、練習に熱心に取り組みながら、部活の費用を出すためバイトもこなす、頑張り屋さんの彼女。
でも、そんな彼女の悩みは、「頑張りきれていないこと」でした。
「めっちゃ頑張ってるじゃん!」 周りの友達からは
そう評価されていても、納得できない。
「もっとできるはず・・」そんな思いを抱えながら、自分のことを好きになれずにいたそうです。
■
彼女がダンス部に入ったのは、「憧れの先輩がいたから」でした。
「みんなをちゃんとまとめてるところとか、頭が良いところとか、
スタイルもいいし、笑顔も素敵だし、キラキラしてる!
それにダンスがうまいところかなあ!!!」
“先輩の好きなところ”を聞くと、すぐに目を輝かせて話してくれる、
そんな先輩みたいになりたいと、ダンスの練習を頑張っていた彼女。
でも、理想どおりにはいかなくて、「追いつけていない自分」をダメだと思ってしまう。
この心のなかの葛藤が、たーぼうの高校時代の話と同じで、共感したというのです。
■
そんな彼女に、班で担当したキャストと、途中から加わったたーぼうが行ったのが、
彼女の“良いところ”を肯定するコミュニケーション。
彼女からひととおり話を聞いた後、たーぼうはこんな提案しました。
「先輩と自分を比べて、できているところと、できていないところを、書き出してみようか?」
彼女が書き出していった、「できているところ」は、「明るいところ」と「笑顔」
できてないところは、「周りを認める」「ダンスがうまい」そして、「頭がいいところ」。

「先輩の話」をするたーぼうさん
このようなやりとりのなかで、自分の「良いところ」そして「まだ足りないところ」を確かめられた彼女は、
先輩に近づくため、これから具体的に何をしていけばいいのか?を考えていきます。
・たーぼう「じゃあこれから部活でどうしていく?」
・生徒「とりあえず、頑張ります・・!」
・たーぼう「どう頑張る?もう既に結構頑張ってるじゃん!」
・生徒「うーん・・。たーぼうさんみたいに声出しをまず頑張ってみます!!」
・たーぼう「それならすぐにできるね!今日頑張ったらカフェに書き込んでよ!」
・生徒「わかりました(*^^*)」
「声出しをがんばったり、姿勢でみせる」という“約束”を結んだ彼女は、
授業終了後、さっそくWeb上の掲示板(カタリバカフェ)に書き込んでくれていました。
■
「実は、あたし、カタリバをやる前まで、部活がスランプ気味で、すっごく悩んで落ちこんでたんです…
でも、たーぼうさんに出会って、たーぼうさんのお話聞いて、
すごく、共感というか、あたしと似てる面があって、すごい、話聞いてて、なぜか泣きそうなっちゃうし;」
「でも、それだけじゃなくて、たーぼうさんは頑張って前の自分と
変わった話もしてくれて、あたし・・・スゴイなぁ…。って思いました!!」
「だから、あたしも変わろうと思って、カタリバを終えてからの部活の昼の練習で、
メッチャ誰よりも声出しました(^^)!」
授業で感じたことを、さっそく小さな行動に移してくれた彼女。
その後も掲示板でのやりとりが続いて、授業の1週間後、次週に控える大会のオーディションで
2年生にして「センター」に大抜擢されたそうです!
その大会の期間中、予選を前日に通過して、本戦を控えたそのとき、書き込んでくれたのが冒頭の書き込み、
「予選通りましたあ――(*^^*)!!!!」だったのでした。
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目標に向かって、マジメに頑張っているけど、どうしても自信をもてない。
自分をダメだと思ってしまう・・
そんな生徒さんでも、悩んでいるのは自分だけでないとわかって、
自分の良いところを改めて見つめ直す。
このようなコミュニケーションを経て、小さな一歩を踏み出すことで、
プラスの循環が生まれていくことがあります。
“ナナメの関係”によって、高校生の意欲や創造性を引き出すとともに、
彼らが安心して頑張れるように、そのチャレンジに伴走していく。
子ども・若者の「無限の可能性」を開花させるために、
カタリバはこれからも、教室に“社会”を届け続けていきます。