【キャストインタビュー】どんな高校生も安心して気持ちを言葉にできる場

2015.9.18 事例紹介

今回は2012年から2半年カタリバでボランティア(キャスト)として活躍し、いまはネクスト(大学卒業後、社会人ボランティアとしてカタリバに関わっているキャスト)として様々な方面でお手伝いいただいている、堀越貴子さんにインタビューを行いました。社会人になった今は、ご自身も定時制高校の出身ということもあり、定時制高校へのカタリ場や、入学選抜において学力検査を行わない高校(クリエイティブスクール)である神奈川県立田奈高等学校での、中退予防支援「田奈ゼミ」に参加をしています。とくに「田奈ゼミ」には経済状況や不安定な家庭環境の生徒さんも多くやってくる中での継続的な支援を行っています。カタリバでの取り組みの中で感じていることや、外部環境に起因した困難を抱えた生徒さんと接していく中で、強く思うことを語っていただきました。
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■全日制高校から定時制高校への入学

 私は、本当だったら高校2年生になるはずの4月に、定時制高校に入学しました。中学の時は、中2の11月から保健室登校。その後入学した全日制高校では人間関係が上手くいかず、1年の10月に中途退学。半年間、保険証以外に自分を証明するものがない時間を経ての入学でした。当時は、周りの大人・先生たちから「学校で上手くやっていけないと、社会に出ても上手くやっていけないよ」と言われ続けていました。そのため、「きっとどこにいっても私はダメなやつなんだろう」と将来に諦めていたんです。定時制に入学した時も、劣等感の塊で、何の期待もありませんでした。ただ、入学してしばらくたつと、周りの子も様々な事情を持ってこの学校に来たことが段々とわかってきました。例えば、同じように中学の時学校に行っていない子・中退してきた子・一人親家庭の子・外国籍の子・家族を養っている子。私服なので服装もバラバラで、教室に入った時は本当に驚きました。でも、何らかの形で自分を表現している、表現しても良いと思えるあの空気は、とても心地よかったんです。先生とも、まるで友達のように距離が近くて驚きましたね。「この学校なら、やり直せるかもしれない」そんな風に感じました。

■「学校でうまくやっていけないと社会でもうまくやっていけない」という言葉

 私は今年の春から会社員として働いていますが、入社する前の2月と3月、不安でいっぱいでした。なので、周りの人に相談したけれど、「みんなそうだよ。経験したことないことするんだから。」と言われてしまったんです。私が感じていたのは「新しい環境に行く不安」というよりも、「自分が上手くいかなかった社会に戻る不安」でした。「学校で上手くやっていけないと、社会に出ても上手くやっていけない」と言われてきたことを思い出し、「やっぱり私はダメなんじゃないか」って思ってしまったんですよね。その感覚を理解してもらえなくてとてもつらかった。その時に思いました。定時制の生徒さんや、困難校の生徒さんは、卒業後にすぐに社会に出て働く子が多い。私がカタリ場の企画で出会った彼らがこぼしてくれた「不安」も似ていたんじゃないかって。もちろん、全員がそうだとは思いません。ただ、私の周りにはその感覚を共有できる人がなかなかいませんでした。なので、少しでも自分が感じたことサンプルの1つとして発信して、彼らの不安な気持ちに寄り添える人が増えたらいいなと思います。

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■どんな高校生も安心して気持ちを言葉にできる場

もし、すべての困難を抱えている高校生に、そうやって寄り添ってくれる人が近くにいたら、「自分の素直な気持ち言ってもいいのかも」って思える高校生が増えるのかな、と思います。小さく見えて、大きな変化につながると思います。私は「学校行くのが当たり前」「勉強できて当たり前」を押し付けられていたので、親も先生も友だちすらも敵だと思っていて、本音を言ったことが一度もありませんでした。言っても何の意味がないと思っていたからです。今でも、親は私が学校に行かなかった本当の理由を知らないと思います。でも定時制に入って初めて、学校を辞めたことを友達に話せた時、環境は変わらないし、状況は変わらないけれど、気持ちはとても軽くなりました。肩の荷が下りたというか。「何でもっとはやく言わなかったんだろう」って思いましたけど、「伝えてみよう」と思える人がそれまで周りにいなかったんですよね。そういった高校生には特に、「言ってもいいんだ」と思ってもらうことが大切だと思っています。どんなに困難な状況でも、彼らがそれを「困っている」と感じて、助けを求める言葉にしないと、本人に納得感がないまま周りの大人が動いてしまう。それで、「余計なことしないでほしい」と思われて、関係がなかなかうまく築けない、なんてことになるのはとてももったいない。対話を通じて「言ってもいいのかも」って思ってもらえたらそれが大きな変化につながると思います。そこから先、問題が深刻な場合は専門家の方々との協働も必要だと思います。そのためにも、カタリバが価値を出せるのは高校生に安心して気持ちを言葉にできる場を届けることなんじゃないかと、今は思います。「社会って、意外と敵じゃないかも」って思ってもらえたら、私は嬉しいです。

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■カタリバのキャストは「自分のことわかってくれそうな存在」であってほしい

カタリバキャストに必要なこと、それはどんなことも受け容れる覚悟だと思います。覚悟というと、ちょっと堅いかもしれませんが・・・例えば、「学校辞めようと思ってる」と言われる、「勉強したくない」と言われる、話しかけてもずっとスマホを目の前でいじっている、誰にも言えない悩みを打ち明けてくれる、一緒にいるといろんなことが起こると思うんです。その時に、「そんなこと言わないでやろうよ!」と自分に都合の良いように言うのではなく、一旦「これがこの生徒さんの今なんだ」と受け容れるあたたかな覚悟。その積み重ねが、信頼関係につながっていくんだと思います。とくに困難を抱えた高校生にとって、カタリバのキャストは「自分のことわかってくれそうな存在」であってほしいですし、そこから、生徒さんたちが自分の力で道を切り拓けるような支援につなげていきたいと思っています。私は自分のコミュニケーションを振り返ると日々反省ばかりだからこそ、自分への戒めも込めて覚悟が必要だな、と思いました。コミュニケーションを振り返りながら、キャストや、様々な形で関わる人達と一緒に、生徒さん一人一人の今と未来に伴走していきたいと思っています。
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自身に悩んだ経験があるからこそやるべきことがあると、働きながらもいまもカタリバの活動を続ける堀越さん。そんな彼女だからこそ言えること、できることがあるように、誰しもが「あなただからこそできる」ことを持っています。カタリバは多くの人が可能性を感じられ、そして信じることができる場所であり続けたいと思っています。

カタリバでのボランティアに興味を持った方はこちらより、詳細をご確認ください。
http://www.katariba.net/syutobora/

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