株式会社東京個別指導学院 代表取締役副社長 井上久子氏
× NPOカタリバ 代表理事 今村久美 対談
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WEBサイト インタビュー |
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NPOカタリバはこれまで「高校生たちのやる気に火をつけたい!」「がんばることがカッコイイを当たり前に」などの思いから高校へ出向いて多くの高校生と語ってきました。そうした活動を続けるなかで私たちは同じような社会の課題を感じ同じように若者の力を信じている多くの社会人や企業や団体と出会いました。そんな方々とこれからも互いに刺激し認め合える「ナナメの関係」でありたいと思いカタリバのHPでご紹介させていただきたいと思います。 記念すべき第1回は株式会社東京個別指導学院(以下、TKG)です。 個別指導塾を全国に展開されているTKGは大学生の力に着目し、塾の先生として生徒である子どもたち1人ひとりと向き合うスタイルにこだわっていらっしゃいます。そのこだわりの理由をカタリバ代表理事・今村久美がTKG代表取締役副社長・井上久子さんにうかがいました。 ![]() 「大学生だからこそ」、 子どもたちにとって最高の講師になれる。 それがTKGの、こだわりなんです。 ![]() 【今村】 このほど、TKGにはカタリバの活動に賛同していただき大変嬉しく思います。ご賛同いただけたのも、TKGとカタリバの理念に通じるものがあるということですが、「大学生が子どもたちに教える」という構図もTKGとカタリバは似ているように思います。 【井上】 そう、よく似ていますよね。TKGは、講師と生徒が1対2の個別指導の形式をとっておりまして、その講師のほとんどはみな「大学生」。保護者からは「学生に何ができるの」という疑問をぶつけられることもありますが、私たちは「大学生だからこそ良い」とご説明させていただいております。なぜ学生が良いかというと、彼らは大人よりも子どもたちの目線にずっと近い存在だからです。ちょっとだけ年上のお兄さんお姉さんは、子どもにとっては数年後の自分の姿。学習時間の合間に「大学生活はこんな風だよ」「将来は○○を目指している」といった話を聞けば、具体的に自分の未来を描くことができて、わくわくしますよね。それが、学習への意欲にもつながる。生徒に響くリアルな話は、やはり、、実際の学生にしかできませんよね。 【今村】 カタリバも同じです。自分よりもちょっと先輩に対するあこがれがヤル気の原動力になることを、カタリバでは「ナナメの関係」と言っています。中高生から見て大学生はあこがれの対象。そのあこがれの人から「がんばって」と励まされると、高校生たちはすごくヤル気を見せるんです。
【井上】 そうそう! 素敵な先輩の姿が近くにあることが大切。TKGの講師たちの「ヤル気」や「笑顔」が、各教室の成長のカギだと思っています。 【今村】 なるほど。TKGの教室を支えているのは、講師の学生たちということですね。それもあって、学生講師たちを「パートナー」と呼ぶことにしたのでしょうか? 【井上】 ええ。私たちは、講師たちを単なる学生アルバイトとは考えていないんです。「私たちとともに成長できる同志」というTKGの思いから、「パートナー」と呼んでいます。子どもたちに接するのは主に学生講師。その講師のキラキラした姿が子どもたちの意欲を引き出すことになりますよね。 【今村】 カタリバでも大学生を「スタッフ」とは呼ばずに「キャスト」と呼んでいます。それは、学生1人1人が「カタリ場」という舞台の主人公であって、いつもその舞台でかがやいてほしいという思いからです。私を含めて事務局は、学生たちの舞台を作る裏方なんです。 人生の壁を乗り越える力を、学生を通して生徒に伝える。 ![]() 【井上】 講師の学生にはもっと成長してほしいので、研修にも工夫をしています。 【今村】 例の、八ヶ岳合宿ですね? 【井上】 はい。新人研修や段階別研修など、いくつかある研修のひとつが、その「八ヶ岳研修」です。この研修は2泊3日の合宿形式で、全国の教室から講師が集まり、見知らぬ7、8人を1チームに振り分け、各チームにミッションを与えます。例えば背の高さほどにしつらえた大きな丸太をチームみんなで手をつないだまま乗り越える、とか。参加した学生たちは、最初は「何でここにいるの?」と目的がわからずに、退屈そうな顔をしている。けれど、合宿最終日にはその顔が別人のように生き生きとしたものに変わるんですよ。 【今村】 それは面白いですね。なぜ、学生は変わるんですか? 【井上】 いくつもミッションを課すのですが、達成できなかったりすると、チーム内で不穏な空気が流れる。そこで何度も、ぶつかり合うんです。そこがポイントで、逃げないことが大事。人生は何かを目指そうとすると、必ず壁にぶつかる。その時どうするか。そこで生き方が変わってくる。自らの殻を破って挑戦することも大事だし、仲間とともに力を合わせて乗り越えることも大事。TKGの最終目的は、子どもたちにそういう力を付けようというもの。だから研修で、まずは学生講師にその力を付けてもらうということが、研修の大きな目的のひとつです。 【今村】 なるほど。壁を乗り越えることができる先輩がいて、その姿を見て、子どもたちも同じように壁を乗り越えることができるようになるわけですね。 【井上】 こうしてああしてと口で言うだけでなく、自ら実践して「背中を見せる」ということです。 集団指導ではなく、「1人ひとりにやればできるを伝える」TKGとの出会い。 ![]() 【今村】 それは、井上さんご自身の生き方にも表れているように思うのですが、どうでしょうか? 講師時代、熱血先生だったと、耳にしたのですが。 【井上】 私にとって、集団指導というものが、昔から疑問だったんです。「子ども1人ひとりと向き合う教育をしたい」と。以前、学校現場に少しいた頃があって、ある先生から「40人を1人だと思って授業をして」と言われたんです。「え?1人ずつに教えるのが教育じゃないの?」と疑問に思って。気が付いたら学校を飛び出しちゃった。それで、個人経営の小さな塾で講師になった。そこでは私が思うように、とことん子どもたちと向かい合うことができて、授業はもちろんのこと、不登校の子と、その子が得意なサッカーをしてみたり、「将来どうするの?」と話し合ったり。 【今村】 いやあ、熱血ですね。それが、なぜTKGに入社されたのでしょう? 【井上】 ある日、TKGの求人広告をたまたま目にしたんです。そこには「個別指導で、『やればできる』を子どもたちに伝えたい」とあった。「まさにこれだ!」と衝撃でしたよ。当時、個別指導は珍しかったので。「私のやりたいことはここにある」と、すぐに採用面接を受けました。 【今村】 「1人ひとりと向き合う教育を」という、理想の場にやっと出会えたというわけですね。 【井上】 そうです。けれど入社したら、講師ではなく教室長なんですよね。 【今村】 最初の教室では、どのように? 【井上】 入社後、神奈川のある教室の教室長に配属されました。TKGの教室長は、大切な生徒と保護者、そして講師たちと真剣に向き合う大変な仕事。当時は、割と簡単にあきらめて辞める教室長が少なくなかった。その教室も例外でなく、学生講師たちは、「あんたもどうせいなくなるんだろう」という厳しい態度でした。もともと講師志望で入社したこともあったので、すぐに辞めたいと思いました。でも、ある日、講師たちが子どもたちには最高にいい笑顔で接していることに気がついたんです。よく考えてみれば、講師たちの不信感が募ったのも、これまでの教室長たち大人が無責任に辞めていったため。だから、私はそこから逃げてはいけない。そこで講師たちと本音でぶつかり合うことにきめました。「私もみんなも子どもたちが好きだよね。だったら子どもたちのために、みんなの笑顔があふれる空間をつくろうよ」と。そうしたら講師全員が応えてくれました。 【今村】 力を合わせて壁を越えた瞬間ですね。カタリバでも数十人でチームを組んで学校現場へ出向きます。チームワークが良いとその成果も大きいように感じます。 継続的に子どもたちの成長を見守るTKG。それが、学生の成長にもつながる。 【今村】 これまでの話を振り返ると、やはり、カタリバとTKGには共通部分が多いですね。 ![]() 【井上】 そうですね。カタリバとの出会いは、TKGにとって、とても良かった。「やればできる」「夢をもつことの大切さ」などの理念がとても共通しているし、両者とも、学生の秘めた力に気付き、それを育てようとしていますからね。TKGの手法としては、学習というツールを通して、継続的に学生が子どもの成長を支援するということ。カタリバはどうですか? 【今村】 確かにそうですね。「継続性」はカタリバにはない要素です。「カタリ場」は基本的に、大学生キャストと高校生との1回きりの出会いの場です。継続は、学校の役割として切り離して考えるスタンスをとっています。それは、学校という日常に、1回きりの非日常を持ち込むことで、高校生たちのヤル気を目覚めさせる起爆剤になると考えているからです。また、1回きりであれば、教育に限らず様々なフィールドに関心を持つ学生たちでも関わることができる。人は人との出会いで変わることができますから。 【井上】 ええ。人は、自分が影響を与えた人の、その変化を見て、自分自身が成長できる。学生講師たちは生徒の成長を見て、また自分自身も成長する。TKGは、「教育」の「教える」よりも「育つ・育てる」方を大切にしていきたいと考えています。 【今村】 学生も生徒も共に育つ、「共育」ということでしょうか。本日はありがとうございました。 |
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