雨谷先生(敬愛学園高校)

「カタリバの取り入れは、賭けじゃなかった。勝算はあったからね。」
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敬愛学園高校・雨谷稔彦先生インタビュー
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今でこそ150名を超えるスタッフを抱え、沢山の応援者の方々に支えられている
NPOカタリバだが、もちろん最初からそうだったわけではない。
スタッフはいないし、実績もないし、事務所も間借り状態の、カタリバ元年の2年前のこと。
「ちょっと私の話を聞いてください!」
いきなり飛び込んでいったカタリバ代表今村(旧姓中澤)に「カタリ場」の実施を任せてくれた、
今考えるととんでもない先生がいる。その名も、敬愛学園高校・雨谷稔彦先生。
そんな恩師のもとを、今村が今また訪れた。
敬愛学園とNPOカタリバの間に生まれた化学変化の正体をつきつめた。
■■■カタリバの取り入れは、賭けじゃなかった。勝算はあったからね。■■■
今村>先生の今の役職を教えてください。
進学指導部長、並びに特進コースの責任者をやっております。
今村>
先生は一番最初に私達の活動を受け入れてくれましたよね。
どうしてカタリバを取り入れてくれたんですか?
本校が2年前に、制度が大幅に変わり、普通科のみの高校になったんです。
そこで、普通科高校としての新しい要素をどこに出して行こうか、
ということになりました。
それに加え、先生と生徒との距離がどんどん離れていくという本校の現在の状況も
課題として残っていました。
そこで、何かちがう形で子供達のモチベーションを上げていこうと考えた訳ですね。
新しい生徒と教員のつなぎとして、カタリバさんに授業をお願いしたわけです。
今村>
その転換期の打開策の一つとしてカタリバを取り入れて下さったんですね。
危険な賭けだとは思いませんでしたか?
いえ、賭けではありませんでしたよ。勝算はありました。
長年教師をやると、生徒との年齢差とジェネレーションギャップをどうしても感じざるを得ないんですよ。
けれどもカタリバは、自分が百回言っても通じないことを、一コマの授業で伝えられるんです。
■■■強みのある高校生になるために■■■
今村>じゃあ、逆に敬愛学園のことも聞かせてください。
本校はこれまで商業科と工業科と普通科の3つがあって、
さらに工業科は建築と機械と電気に分かれていたんです。
それが二年前、全部普通科に変わったんです。
けれど、そこに本校が培ってきたノウハウ、例えばコンピューターをいっぱい持ってたり、
工業系のことを教えられる教員がいたり、
商業の資格を取ることを教えられる教員がいたり、
というような他の普通科にはない要素を活かせられないか考えたんです。
そこで、そのノウハウを活かすコースを作ろうということで総合科というコースが出来たわけです。
総合科では、高校時代に経済学部を目指しながら公認会計士の資格の基になる
簿記の授業を選択してる生徒もいますし、
自分の家を自分で設計するという目標を持って、
建築インテリアを選択してる生徒などもいます。
今村>全部普通科に変えたっていうのはどのような意図があったんですか?
社会のニーズに対応するためですね。
やはり、専門性と学力の両方を備えた人材が今の社会には求められていますから。
単なる普通科の高校を卒業して技術系の大学に進学すると、ものづくりの体験もしないし、
その苦労も知らないまま大学に入ってしまうということになるわけです。
だから本校では、高校の科目を学びながら、
高校時代に技術系のことも体で覚えさせようという環境を準備したわけです。
確かに大学に入って1、2年目の教養課程では苦労する子もいますが、
3、4年の専門課程に行くと逆転しますね。
今村>普通の大学生と逆ですね!
■■■自分は偏差値なんか関係ない、と気づいて欲しい■■■
それと、工業高校は教育が困難な子にもなんとかして何か強みを与えてやろうという部分も昔からあったわけですね。
本校の歴史は50年ですから、そのためのノウハウが本校にはあります。
歴史が浅い工業高校とか商業高校と比べて、その差は大きいですね。
だからそう考えると、そんなに捨てたもんじゃないんですよ。
子供たちのためにも、この学校に来て良かったなって思える部分をちりばめておかないと。
今村>生徒の満足度っていうのも必要な観点ですよね。
子供達が気がつかないうちに身につくのが一番良いんじゃないかと思いますけどね。
本校の卒業生には、自分は偏差値なんか関係ねえぞって言えるぐらいの大学を飛び越えた
キャリア感っていうのを持たせて卒業させたいんですよ。
そこから先にある社会を見据えながら大学4年間を過ごせる奴が出来ればいいなって。
今村>
私やっぱり敬愛学園みたいなキャリア学習的なところの意識を持った人こそが
就職活動のとき自分の行きたい企業に入れてる人が多い気がするんですよ。
有名大学と言われているようなところの学生でも受からない人は本当に受からないんでよ。
大学の入り口の部分じゃなくて出口の部分を見据えさせてあげているっていう
敬愛学園のカリキュラムっていうのは本当にいいと思います。
■■■多様な教育を■■■
日本の社会構造ってバトンタッチでしょ。
高校を出て、社会へ行く就職組と、資格の取得を目指す専門学校組と、
もう一段階上の教育を目指す進学組。
で、日本の教育の中でも大学っていうのは研究機関として存在してるじゃないですか。
でも社会はそうじゃない。
研究が出来る人材を求めてるわけじゃないでしょ。
つまり、会社人としての素養を身につけられるだけの教育をする場所は
日本の教育の中ではどこにもないんですよ。
場所こそ違え、営業職・事務職いろいろあるけど、
それをやっていくために一体何が必要なのかと言ったら、決して研究が出来る力じゃないんです。
人ときちっとコミュニケーションを取れる能力、人のことを考えられる他者意識、
そして尚且つ問題を提起して解決していく能力などが必要なわけです。
だから、研究機関として研究者を養成する大学があっても然るべきだけど、
社会寄りの部分で生きていく大学があってもいいですよね。
大学、という枠でひとくくりにしてはならないと思います。
今村>
私はつい社会寄りの学問の方が役立つとか思っちゃうんですけど、その通りですね。
■■■教科書の代弁者じゃない教師になるために、内定三つを蹴った。■■■
今村>
先生は大学生のとき何をやってらしたんですか?
理工学部で、研究ばかりやっていました。
電子工学科の中の電波解析が私の研究だったんですが、それをきちっとやって、
そのまま就職っていうのが普通のパターンだったんですよ。
大学4年生のときに民間から3つ内定が決まってたんですが、
そこでちょっと待てよって立ち止まったんですよ。
今村>
えっ、民間企業に内定も決まってて、なんで教師になろうって思ったんですか?
うーん、ちょうどその頃、教育実習があったんですよ。
その時の担当の先生がとてもプロ意識の強い方で、目茶目茶叩かれたんですよ。
そこで言われたのが、
「教科書の代弁者で教員になるつもりか!!」
爆発的な一言でしたね。
■■■最後にカタリバに激励のお言葉を・・■■■
今村>最後に、これからのカタリバに一言お願いします。
スキルが上がっても今の視点で授業を続けて行って欲しいですね。
大切なのは、プロの声じゃなくて、生の声なんですよ。
アドバイスを与えられるんじゃなくて、一緒に悩むことが出来る、っていう。
普通に大学生をやっている「ちょっと先輩」との一期一会的な出会いは
まちがいなく生徒に変化をもたらすと確信してますから!
今村>ありがとうございます!







